2026/09/03 夢日記『エニグマが』

『エニグマが』

夏の夜、僕は祖父母の家にいた。

どうしてそこにいたのかは覚えていない。

祖父も祖母も出かけているらしく、家の中には僕しかいなかった。

夕飯はカップラーメンで済ませた。

湯を注いで三分待ち、居間のテレビを見ながら食べた。

食事をする前に風呂にも入った。

あとは歯を磨いて寝るだけだった。

祖父母の家は田舎にある。

夜になると本当に静かだった。

車が通る音もほとんどしない。

窓を開けていると、ときどき虫の声が聞こえてくる。

二十三時を過ぎた頃、テレビが急につまらなくなった。

チャンネルをいくつか変えてみたが、どれも見る気にならない。

僕はテレビを消した。

それまで部屋を満たしていた音がなくなる。

急に家の中が静かになった。

「歯磨いて寝るか」

誰に言うでもなく僕はひとりで呟いて、洗面所へ向かう。

洗面所は蒸し暑かった。

鏡の前で歯を磨いているうちに、額に汗がにじむ。

鏡に映った僕をぼんやりと眺めながら、どうでもいいことを考えていた。

歯を磨き終えて口をゆすぐ。

蛇口から出る水を止めると、また音が消えた。

僕は洗面所の灯りを消した。

寝室にしている和室までは、廊下を少し歩かなければならない。

廊下の灯りはつけなかった。

窓から入る月明かりのおかげで、歩けないほど暗くはなかったのだ。

でも、古い家の夜というのは妙に不気味だった。

昼間なら何でもない柱や襖が、暗がりの中では別のものに見える。

……ミシッ。

歩くたびに床が鳴る。

自分が歩いている音だと分かっているのに、そのたびに少し嫌な気分になった。

和室の前まで来た僕は、襖を開けた。

布団はすでに敷いてあった。

部屋に入り、襖を閉める。

そして布団の上に寝転がった。

その瞬間だった。

「エニグマが……!!」

急にどこからか大きな声がした。

赤ん坊のような、高くて舌足らずな声だった。

僕は飛び起きた。

どこから聞こえたのか分からない。

廊下なのか。

隣の部屋なのか。

天井なのか。

それとも、すぐ耳元だったのか。

驚いた僕は叫び声をあげた。

つもりだった。

でも、声が出なかった。

喉の奥で空気だけが引っかかる感覚が不気味だった。

ここで起床。

エニグマが…、なんだったのだろうか。

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